合宿免許のデザイン

ラジアルタイヤは、ふつうスチールコード(スチールコードとはスチール繊維が加わっているカーカスです)がタイヤの内側に張られている。
タイヤの半径方向では、このコードの巻き方がラジアル(放射状)にできているのです。
だからラジアルタイヤと言う。
トレッドがフニャフニャしませんから、ラジアルタイヤをつけた自動車が走るときには、ふつうのタイヤにくらべて路面をしっかりとつかみます。
これは、自分の車をラジアルタイヤにかえてみると、すぐわかります。
真っ直ぐ走るときも安定して真っ直ぐ走りますし、カーブを曲がるときにも安定して回るので、いっぺんでわかります。
雨の中の走行も非常に楽になります。
スキッドしにくくなるからです。
だから最近の乗用車のタイヤはどんどんラジアルタイヤに変わっています。
近頃のタイヤがあまりパンクしない理由そして、最近の車はほとんどパンクをしなくなったと言いましたけれども、これはチューブがないからです。
つまり、それまでのタイヤは、タイヤの中にもう一つゴムのチューブがあって、その中に空気が詰めこまれている。
それでタイヤに釘が刺さるとチューブを貫きます。
まずタイヤのかたいゴムを貫いて、中の軟らかいゴムのチューブを貫く。
そうするとチューブがしぼむのです。
釘が貫いたから、チューブと釘のあいたに隙間ができます。
空気はその隙間にどんどん出て行ってしまう。
そうしてタイヤに空気を詰めこむバルブに到達し、バルブの穴から外へ出て行ってしまうのです。
それに対してチューブレスというのは、チューブがなくて、そのかわりインナーライナーという特殊なゴムがチューブのかわりにゴムタイヤの裏側に張りつけてある。
これは、釘が刺さって貫いたとしても縮まないから、空気がドカドカ流れていかない。
あるいはまた釘が刺さっても、釘を抜いた場合、自然にインナーライナーがそこに広がって穴を小さくする。
完全にはゼロにはならないでしょうけれども、穴をうんと縮めてしまう。
だから少なくとも空気圧が急激に下がることはありません。
ただ、長いこと乗っているうちに、だんだん下がってくるから、チューブレスタイヤといえども、少しへこみすぎているんじゃないかな、どうかなと、いつも見ている必要があります。
チューブレスタイヤがあらわれたのは一九四七年以来のことですが、いまでは我われの乗用車の大部分はラジアルタイヤで、かつチューブレスです。
だから我われの車はコーナーを安定して回るし、雨が降ってもめったにスリップせず、急ブレーキをかけてもお尻を振らず、かつパンクをしなくなっています。
タイヤは車の命なのです。
車がかなりのスピードでカーブを曲がりきるためには、ブレーキ、懸架装置、トランスミッション、タイヤなど、これだけのしかけを総動員し、全体のバランスをとりながら改良に改良をかさねる必要があったのです。
ボディーが流線型である理由さてその次の問題はボディーの形です。
スピードが遅いときには、馬車のようなかっこうをしていても、それほどたいした問題はなかった。
いちばん初めに話したように、車が走るときには路面からも空気からも抵抗を受けています。
道路も空気も、自動車を走らせまいと頑張って、いわば抵抗しているわけです。
それに対してこちらはアクセルペダルを踏んで、その抵抗を押しのけようとしている。
そして、トルクと抵抗とがちょうど同じぐらいになってつりあうと、自動車は同じスピードで走っていきます。
スピードがそんなに高くないうちは、道路の抵抗が圧倒的に多いのです。
が、時速八〇キロを過ぎたあたりから空気抵抗がだんだん増して、一〇〇4口を越えると、さらに猛烈に増してきます。
抵抗の八〇%は空気だといいます。
それからボディーの形がデコボコですと、風切り音が鳴って、うるさいです。
大風のときに電線がヒューヒューうなるでしょう。
あんなふうに自動車がうなってしまう。
もちろん自動車がうなるほどであれば、そこの空気抵抗がひどいから、熱も生じているし、車の走行を非常に妨害します。
風切り音が出ないように、そして空気抵抗が少ないようにするために自動車のデザインは流線型になってきたのです。
ところが、自動車はもともと馬車から変わってきた乗物です。
だから、どうしてもヨーロッパの人には馬車のイメージが残っている。
日本では馬車の歴史が非常に短い。
つまり徳川時代には馬車はなかったのです。
馬車が登場するのは明治以後の時代ですから、馬車に乗った日本人は少ないでしょう。
だから日本人は馬車デザインに固執しないでしょうが、ヨーロッパでは馬車の歴史が何百年も続きましたから、人びとには道路を動く乗物は馬車としか映らない。
したがってスピードが上がっても、デザインは依然として馬車に似てしまう。
自動車のデザインが、そのスピードにふさわしいものになってくるのは、乗用車では一九三〇年代からです。
レーシングカーのほうは、そんなことは言っていられませんから、初めから流線型です。
だからレーシングカーと乗用車のデザインはまるで別物だったのです。
一九三〇年代になって、やっとスピードにふさわしいボディーがデザインされるようになりました。
最近はずいぶん減ってきましたけれども、おなじみのカブトムシ型のフォルクスワーゲン、あれこそ流線型のみごとなデザインです。
ただあれも、どういうわけか、馬車と同じように、自動車に上がる踏台がついている。
ボディーの横にちょっとした出っ張りがあるでしょう。
後輪のフェンダーと前輪のフェンダーとのあいだにあるから、ちょっと気がつかないけれども、踏台のようなものがついている。
あれは馬車時代のイメージが残っているのか、それとも別の意図でつけたのかわかりませんけれども。
現在でも、高級車になればなるほど、どちらかといえば馬車的なイメージを残します。
ロールスロイスのように、相変わらず垂直にそそり立ったグリルをつけているのは、馬車時代の名残が、宇宙時代の今日でも依然として残っていることを示しています。
あまり高速になると流線型だけでは車体が浮くところで、第二次世界大戦後になってますますスピードが上がってくると、流線型にも問題が起こってきました。
飛行機が滑走して時速二〇〇キロぐらいになると離陸してしまいますが、これは翼の上側を流れる空気の圧力が、下側を流れる空気の圧力よりも低くなるため、翼に揚力が発生するからです。
自動車でも時速一〇〇キロを越えると揚力が働いて浮き上がる可能性がある。
つまり自動車のボディーの下を通る空気の圧力のほうが自動車の天井を通る空気の圧力よりも高くなる。
その圧力の差が揚力ですが、揚力が高まってくるのです。
そうすると、せっかくタイヤが路面をグリップしているのに、それが弱くなってしまう。
だから、その調子でカーブを曲がったら引っくりかえってしまう。
もっとも、そんなに高速でカーブを曲がることはできませんけれども。
しかしどちらにしても、直進走行していても非常に不安定になります。
ですから、今度は揚力を抑えなければならなくなるという問題が生じます。
第二次世界大戦後の最近の乗用車のお尻は垂直に切り立っているでしょう。
あれは揚力を防いでいるのです。

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